阿波西高校野球部生徒の熱中症死亡事故裁判の帰結

 昨夜のNHkニュース徳島版で、阿波西高校野球部生徒の熱中症死亡事故裁判で、最高裁上告が棄却され、県の賠償責任を認めた2審判決が確定したとの報道がありました。

この事故は、5年前の6月、野球部の練習中に起きたもので、亡くなった生徒のご両親が監督の過失を問う裁判を起こしました。
1審では、ご両親の訴えが退けられましたが、2審では、野球部監督の過失を認め、県に賠償を命じました。
県は、2審判決を不服として最高裁に上告することを認めてほしいと、6月議会に詮議として提案。
日本共産党県議団のみが上告に反対して討論を行いましたが、他の議員はすべて賛成。県が最高裁に上告したものです。

県は、速やかにご両親に謝罪し、事故について再度検証すべきではないでしょうか。

以下に、昨年、6月11日に行った私の反対討論の全文を再掲します。

 

本会議詮議案件:阿波西高校野球部生徒死亡事故裁判の上告の件の反対討論

日本共産党を代表して、本日提案されました議案第20号、上告の提起及び上告受理の申し立てについて反対討論をいたします。

本件は、2011年6月6日、学校の課外活動である野球部の練習に参加していた高校2年生男子生徒が、練習中に熱中症で倒れ、救急車で病院に搬送された後、意識がもどらないまま死亡した事故で、亡くなられた生徒のご両親が監督の過失を問うて損害賠償を求めた事件です。
亡くなられた生徒の無念、またご両親の胸中を思うと、本当に胸が痛む想いです。生徒には「安全に教育を受ける権利」があり、学校での課外活動が原因で死亡するなどということはあってはならないことです。

一審では、監督に注意義務違反はなかったとしてご両親の訴えが退けられましたが、これを不服としてご両親が上告され、二審の高松高裁で一審判決を変更。「足がつった」という生徒の症状から熱中症による熱けいれんと考え、その後の生徒の様子に注意していれば、生徒の異常に気づき、倒れる前に練習を中断させることで事故は防げたはずだと監督の過失を認め、約4500万円の支払いを命じました。

県は、生徒が監督に自ら体調不良を訴え、一人でダッシュを再開することを止めていれば事故は起こらなかったとして、過失相殺も訴えたとのことですが、裁判では、「本人の性格を考慮すれば考えられない」と退けられています。

知事は、一審と二審の判決内容がまったく違うことを重く見、最高裁の判断を仰ぎたいということでしたが、二審判決で、監督の過失は明確に指摘されています。これ以上、裁判で争うべきではない、最高裁への上告には反対です。
県は判決を受け入れ、ただちに両親に謝罪し、損害賠償をすべきと考えます。

事故当時の気温は推定で約29℃。暑さ指数の基準(WBGT)では、熱中症の危険性を考慮し、激しい運動は中止すべきレベルだったとのことです。
当該生徒は、約2kmの持久走を行った後、100メートルダッシュを25本行った後、休憩。ダッシュを再開し、40本目の途中で足がつり、周囲の部員のすすめでダッシュを中断し、他の部員のフォローにまわったとのことです。監督に呼ばれ、ダッシュを中断した理由を聴かれた当該生徒は、「足がつりましたが、今はいけます。」と答えたとのことです。

その後、他の生徒が100メートルダッシュ50本を終了した後、当該生徒が一人で100メートルダッシュを再開。足がもつれて倒れこみました。
監督はすぐに救急車を呼んだそうです。当該生徒の呼吸が激しかったため、過呼吸だろうと考え、落ち着いて息をするように声をかけながら背中をさするなどして救急車の到着を待ったとのことです。
当該生徒は中央病院に搬入されましたが、意識がもどらないまま、7月4日に亡くなられました。

文部科学省は、中高生の熱中症の発生や熱中症が原因による死亡事故が相次いだことを受け、2003年に熱中症の啓発資料を作成し、全国の小中学校、高校に配布しています。
2003年当時の資料は手に入れることができませんでしたが、2011年当時の日本体育協会発行の「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」にも、熱中症の症状として「足がつる」=熱痙攣の症状が紹介されています。

本県では、2005年に中学生が野球部の練習中に起こした熱中症が原因で死亡する事故が起こっています。
熱中症の啓発、周知をしっかりできていたのか、できていたとすれば、監督にこの知識がなかったとは考えられません。
また、成人とほぼ同程度の自己判断力が備わっている発達成長段階にあるとは言え、監督と生徒の関係を考えると、生徒の方から体調が悪いので休みたいと申し出をすることは難しかったのではないでしょうか。この点で、過失相殺の求めを退けられたのは当然ではないでしょうか。

県は、今回の判決を真摯に受け止め、学校現場に指導を徹底し、二度とこのような事故が起こらないよう努めることが重要ではないでしょうか。
それが、亡くなられた生徒の無念とご両親の気持ちに応える唯一の道でもあると思います。

以上により、本件は上告すべきでないことを指摘して反対討論といたします。
議員各位のご賛同をお願いして、討論といたします。

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