委員会視察で東京へ

20160901_15464620160901_164354 9月1日、2日と、次世代人材育成・少子高齢化対策特別委員会の視察で東京に行ってきました。

1日は、「東京しごとセンター」へ。ここは、東京都からの都民の雇用・就業を支援するために、東京都が設置した財団法人「しごと に関するワンストップサービスセンター」です。

20160901_164435ヤング」「ミドル」「シニア」と、年代別に創意工夫された取り組みが特徴的です。「女性」への支援も、キッズコーナーがあり、子ども連れで来られるところが「やさしい」。

 

「ハローワーク」が求人情報を提供して就業を直接支援することを中心に取り組んでいるのに対し、東京しごとセンターは、履歴書の書き方や面接の受け方など、就職に必要な基本を身につけたり、転職に必要な知識や技術の習得など、就業に至るプロセスそのものを支援することを中心に取り組んでいるとのことです。

東京都の求人倍率は、現在2.0倍と、徳島と比べると労働者にとって「有利」とも言える状況ですが、やはり「シニア」は厳しいようです。また、求人票もざっと見させていただきましたが、介護や清掃、警備、外食産業、マンション管理などが多く、一ヶ月当たりの賃金は17万円~19万円。決して「良い」とは言えない内容です。

「ミドル」や「シニア」世代では、長年、事務職や管理職をしてきてそれ以外の仕事を経験したことがないからと同様の仕事を探す方が多いが、事務系の求人は少なく、職種転換をすすめることが多いとのこと。また、東京都は正規雇用率の向上を重視していますが、「ヤング」は、比較的早期に正社員として雇用される率も高いそうですが、それ以外は「働き方」の問題もあり、正規雇用率は低いようです。

また、「東京しごとセンター」自体が、指定管理者制度のもと、5年ごとに都と契約を更新しているとのことで、ここで働く職員も、都から出向している職員以外は決して長期的に安定しているというわけではないようです。(今後は10年ごとの更新になることと、ここまでノウハウを持つ事業所は他にはないから心配はしていないとのことでしたが)

徳島では、財源の問題もあり、なかなかこうした事業に独自に取り組むことは難しいと感じました。

「一億総活躍社会」というなら、国が、公的な機関であるハローワークをもっと充実させ、全国どこでもこうした就業支援を受けられるようにすべきではないかと思います。

 

2日は、厚生労働省の女性活躍とワークライフバランスの取り組みについて調査しました。

20時退庁を目標として取り組み、概ね達成できたとして、「大臣賞」を受けたそうです。国会議員対応も求められる現場で、質問取り、答弁など、当番制で1人が担当するなど、働き方を大きく変える意識改革に成功したとの報告ですが、実際には仕事量が減らない、人員もぎりぎりの状況での取り組みは、大変だということが伺えました。霞ヶ関の職員の一ヶ月当たりの時間外労働は「80時間」とのことですが、これは過労死レベルです。厚生労働省の時間外労働削減の取り組みを、早急に他省庁に普及させていくことが求められています。

「人員に合わせて仕事が増える(?!)」という意見も出ましたが、やはり仕事量に見合う人員補充が必要ではないでしょうか。

男性職員の育休取得(1ヶ月程度まで)率向上にも取り組んでいるとのことでした。

視察した同僚議員からは、「公務員だからできること、民間ではとても無理」というつぶやきも聞こえましたが、それでは、欧米に比べてはるかに働き過ぎの日本の現状は変えられないということになります。人間らしい働き方のできる社会にするために、どうしたらよいか、道筋は明らかです。

 

ホテルの窓からの眺め

この秋の臨時国会に再提出される可能性が高いと言われる「ホワイトカラーエグゼンプション=残業代ゼロ」法案についてどう考えるか?との質問には、「担当ではないので」とかわされたのが、少々残念でした。この法案が成立してしまえば、こうした厚生労働省の取り組みも無に帰してしまうのですが。労働は「時間」で管理する、これは収入と関係なく、重要な原則です。