11月定例会 一般質問 質問&答弁

徳島県議会11月議会での日本共産党の一般質問全文を掲載します。

今回は、達田良子県議が質問を行いました。

質問、答弁とも達田県議のブログから引用しています。(理事者の答弁は、音声記録をもとに文章にしたもので、正式なものではありません。)

尚、徳島県議会のホームページ(http://www.pref.tokushima.jp/)の議員紹介のコーナーに、当日の動画が掲載されています。

 

徳島県議会11月定例会 一般質問       2016年12月2日

日本共産党 達田良子  h27-tatuta1

介護保険制度について
《達田》 政府は、2015年骨太の方針で、「軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与等やその他の給付について、給付の見直しや地域支援事業への移行を含め検討を行う」こととされ、社会保障審議会の介護保険部会において議論がされています。
この中で、要介護1,2の生活援助や通所介護を保険給付から外すことを検討してきましたが、反対世論におされて、今回は見送りました。
しかし、審議会の議論は、介護保険の保険料負担の拡大、介護サービスの制限という方向ですすめられており、徳島県民にとっても深刻な影響を与えるものであり、何としても改悪は押しとどめなければならないと考えます。

すでに、要支援1,2の訪問介護・通所介護は、地域支援事業に移行し、現在は猶予中ですが、来年4月からは、保険給付からはずれ、すべての市町村に移行することになっています。
訪問介護や通所介護は、利用者の心身の状況に応じて、軽度の段階から、適切なサービスを利用することによって、重度化を防ぎ、ご本人の自立を支援する大変重要な事業だと思います。しかし、すべての自治体で、これまでと同様の水準のサービスが受けられるのか心配されます。

そこで、お尋ねします。
市町村のとりくみ状況と、介護サービス水準の低下をきたさない対策をどのようにお考えでしょうか。

《答弁 吉田保険福祉部長》  平成26年の介護保険法の改正により、それまで全国一律の基準でサービスが提供されてきた要支援者に対する介護予防の訪問介護と通所介護が、市町村の創意工夫で、多様なサービスの提供が可能となる地域支援事業に、平成29年4月を期限として、順次移行されることになりました。
新たな制度でも、適切な介護予防サービスが提供されるようにこれまでと同様に地域包括支援センターにおいて、利用者のニーズに合ったケアプランを作成し、必要な介護予防サービスを必要とする方は、従来通り、必要な身体開土や生活援助を受けることができます。
これらに加えて、新たな制度では、比較的自立度の高い生活を維持できている方には、一定の研修を受講した地域住民などによる生活援助を、従来より軽い費用負担で受けられるようにするなど、高齢者の容態に応じた、多様なサービス提供を可能とすることにより、地域の支え合い体制づくりを強化しています。
現在、県内では鳴門市や神山町など6市町村において、地域支援事業への移行が完了し、特に、鳴門市においては、シルバー人材センター、NPOなど多様な主体による多様なサービスの提供が始まっており、また、神山町では、住民主体の通所型サービスの提供が開始されるなど、地域資源を活かした取り組みが展開されているところです。
今後移行する18市町においても、それぞれ移行後に提供するサービス類型検討を進めるとともに、住民や事業社に対して、地域支援事業への移行に関する説明会を適宜開催するなど、移行に向け、現状把握と意見交換を行うための全市町村訪問の実施、関係職員のスキルアップを目的とした研修会の開催、先行事例の横展開を図る意見交換会の開催、地域医療介護総合確保基金を活用した生活支援の担い手養成に向けた研修の実施など、市町村支援に継続的に取り組んできたところです。
今後とも、地域支援事業への移行、そして、移行後の円滑な事業実施に向けて、県として、市町村への積極的な支援を展開することで、介護を必要とする高齢者の方々が、適切にサービスを受けられるよう、しっかりと、取り組んで参ります。

《達田》  もう一点は、介護を担う人材確保の問題です。介護現場での人材の必要性は益々高まっていますが、せっかく介護業界へ就職しても、低すぎる賃金と長時間労働、サービス残業のまん延、福祉への初心を生かせない労働環境など劣悪な処遇のために、介護現場は深刻な人手不足におちいっています。
全国では、1年間で介護業界に就職する人は約30万人、うち離職者は1年間で22万人に上り、うち約13万人が他業種へ代わっているそうです。離職者の勤務年数3年未満の人が全体の7割、一年未満が4割ということです。徳島県の介護業界の離職率の状況は全国より少し高い7割台です。
先日、私が見学させていただいたデイサービスセンターでも、「若い人が意欲を持って入ってきてくれても、長続きしないのが悩みの種だ。賃金を上げたくても経営がぎりぎりで出来ない。これ以上介護報酬引き下げされたら本当に困ります。」と、深刻な状況を話していただきました。
介護人材の確保は、待ったなしの課題ではないでしょうか。
そこでお尋ねします。
国に対して介護人材確保のため、報酬の引き上げ、労働条件・環境の改善など抜本的な処遇改善を求めることはもちろんですが、県独自の取り組みについて伺います。

《答弁 吉田保健福祉部長》  全国平均を上回る早さで高齢化が進む中、本県が高齢者人口がピークを迎える2020年に向けて、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる地域包括ケアシステムを構築するため、介護人材の確保は喫緊の課題と認識しております。
本県は、これまでも、国に対し、介護職員の処遇改善の更なる充実について、政策提言を継続的に実施しており、平成26年度には、介護職員の賃金アップにつながる処遇改善加算制度の維持を提言した結果、平成27年度の介護報酬改定においては、全体がマイナス改定となる中、処遇改善加算については、制度の維持に加え、月額1万2千円相当の額の拡充が図られたところであります。
さらに、国においては、平成29年度の介護報酬改定に向けて、事業所が、昇給と結びつけたキャリアアップの仕組みを構築した場合における、新たな加算として、月額平均1万円相当の改善が検討されているところです。
また、本年5月と11月には、人手不足分野である介護現場において、将来の介護人材の確保につながる現役職員の負担軽減を図り、現役職員が、本来の役割である専門的な介護に専念することができる環境を整えるため、就労意欲のある元気高齢者の活躍による世代間の介護シェアの実現に向けた規制緩和、介護職員の肉体的な負担軽減につながる介護ロボットの導入に対する幅広い支援について、政策提言を行ったところです。
さらに、昨日、寺井議員のご質問に表明したとおり、本格的な人口減少・超高齢社会を迎え地域社会の担い手不足が深刻になる中、就労意欲のある元気高齢者の潜在的な力を社会全体で活かしていく取り組みが求められることから、現役職員と元気高齢者との業務シェアにより介護現場における働き方の価値観を転換する徳島県版介護助手制度を新たに創設し、関係機関と連携を図り、本県独自の取り組みとして、来年度から展開していきたいと考えております。
今後とも、県といたしましては、あらゆる機会を通じ、介護職員処遇改善加算の周知を図り、さらに、地域医療介護総合確保基金を活用した介護人材の育成・確保の取り組みを一層充実させるとともに、国に対する政策提言を効果的に実施することで、介護職員の人材確保に向け、関係機関と連携し、しっかりと取り組んでまいります。

子どもの貧困対策について
《達田》  貧困と格差が拡大する中、子どもの貧困が社会問題となっています。
「子どもの貧困対策法」では、都道府県が「子どもの貧困対策についての計画を定めるよう努める」とされています。
徳島県も一応、計画策定済みと国に報告していますが、子育てに関する総合計画の一部という位置付けです。子どもの貧困を正面から打開しようというものではありません。

内閣府が公表した、今年5月時点における都道府県の計画策定状況によれば子育て総合計画の一部に留まっているのは、18都府県、多くが、子どもの貧困対策についての単独計画を策定しています。
しかも、本県の場合、実態調査をしていません。計画は机上のものでしかなく、魂のこもった計画ではありません。

国は、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」のなかで、地方公共団体の責務として、「子どもの貧困対策に関し、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」としています。
当該地域の状況を把握するためには、実態調査が欠かせません。実態調査を行ってはじめて、有効な施策がとれます。国も、実態調査への助成を中心とした「地域子供の未来応援交付金」を設けています。
ところが、徳島県は、県も含め、どの自治体も、この交付金の申請をしていません。なぜ、申請がないのか、委員会で質問が出ましたが、県は、「実施主体は市町村なので、手が上がるのを待っているが、実態調査にまで手が回らない実情があるのではないか。」と驚くべき答弁をしました。
「手が回らないから実態調査をしない」というようなことでいいのでしょうか。

この交付金は、県が実施する実態調査にも使えます。実際、お隣の香川県では、県の「こどもの貧困対策推進計画をすすめるにあたり、より効果的な支援のあり方について検討するため」として、この交付金を使って、実態調査を行っています。知事の姿勢が問われる問題です。

10月20日の参議院・内閣委員会では、加藤・特命担当大臣が、この交付金の弾力運用にしっかり取り組んでいくことも表明しました。

そこで、伺います。
子どもの貧困問題について、県として実態調査を行い、数値目標も示した計画を策定すべきではありませんか。

《答弁 田尾県民環境部長》  次代を担う全ての子どもが、将来に夢と希望を持って成長できるよう、子どもたちの経済的格差を解消し、貧困の連鎖を断ち切ることは、極めて重要であると認識しております。
国がまとめた国民生活基礎調査におきましては、平成24年の子どもの貧困率は、16.3%、ひとり親世帯の貧困率は、54.6%と、とりわけ、ひとり親世帯の経済状況は、非常に厳しくなっております。
県におきましても、平成26年8月に、1800世帯のひとり親家庭等を対象に実態調査を実施し、世帯の状況や収入の状況などについて把握に努めたところであります。
これらの調査結果を踏まえ、平成27年3月には、国の子どもの貧困対策に関する大綱を勘案した「第2期德島はぐくみプラン」及び「徳島県ひとり親家庭等自立促進計画」を策定いたしました。
これらの計画においては、母子父子自立支援プログラムを活用した就職の件数をはじめとした数値目標を掲げ、「母子父子自立支援プログラム策定事業」「ひとり親家庭自立支援給付金事業」などの就労の支援のほか、修学・学習支援、生活支援、経済的支援を柱として、総合的に事業を推進しているところであります。
さらに、本年度は、新たに、児童養護施設等で育った児童に対する支援として、進学・生活支援のための自立支援金貸付事業の創設や、児童養護施設における児童自立支援相談員の配置を国に政策提言するなど、子どもの貧困に対する取り組みを進めているところであります。
今後は、現在、国において実施されている国民生活基礎調査や全国ひとり親世帯等調査の調査結果等を踏まえながら、時宜を得た施策を実施することとし、子どもたちが、大きな夢を紡ぐことができる德島の実現に向けて、子どもの貧困対策にしっかりと取り組んで参ります。

《達田》  子どもの貧困問題は、貧困と格差の拡大がおおもとにあります。
日本は、稼働所得の割合、つまり賃金依存率がヨーロッパなどと比べて大きいのが特徴です。社会保障制度が貧弱なために、非正規雇用の増大や低賃金がそのまま貧困につながる構造になっています。

厚生労働省の所得再分配調査をもとに、1990年と直近の2014年を比較すると、貧困化の実態がわかります。
当初所得では、400万~500万円の中間所得層が約半分に減り、所得100万円未満の層が2倍以上に増えています。
また、再分配所得では、300万~400万円が一番多い層でしたが、これが、200万~300万円が一番多い層になり、100万円も下がっています。
つまり、この四半世紀の間に、貧困が広がり、社会保障制度の機能も弱まっているのです。

子どもの貧困問題を解決するには、抜本的には所得の引き上げ、税制や社会保障制度の見直しが必要です。
しかし、同時に、県として、すぐにでも取り組めることがあります。広い意味で社会保障の機能を強化することです。

なかでも大切なのは、健康と食の保障です。
そこで、子どもの医療費助成の拡充と学校給食費助成について提案します。

県下の市町村では、今年の7月時点で、中学校卒業まで医療費無料が12市町、18歳まで無料が8市町村となっています。最大の人口を抱える徳島市も、来年度から中学校卒業まで拡大する予定です。
つまり、来年度、小学校卒業までという自治体は、わずか3市町となります。所得制限を設けている自治体も一部ありますが、8割をこえる県民が、中学校卒業まで医療費無料の自治体で暮らすことになります。

県は、「市町村の負担になるから医療費助成の拡充は難しい」と言ってきましたが、もうそういう状況ではなくなっています。

そこでお尋ねします。
県として、中学校卒業まで、子どもの医療費無料化を拡充する時期に来ているのではありませんか

《答弁 吉田保健福祉部長》  乳幼児をはじめとする子どもの医療費の自己負担分に対する助成につきましては、子どもの疾病の早期発見、早期治療及び病児を抱える保護者の経済的負担の軽減を図るため、地方単独事業として全国で実施されており、本県においては、市町村が実施主体となり、県は、その費用の一部について、2分の1を負担しているところであります。
また、本県では、昭和48年に、ゼロ歳児の入院及び通院に対する医療費助成制度を導入して以降、実施主体である市町村の意向などを踏まえながら、これまで制度の拡充を図って参りました。
平成18年10月からは、入院・通院とも7歳未満児に拡大し、平成21年11月には、小学3年終了まで、さらに、平成24年10月には、名称を「子どもはぐくみ医療費助成制度」とし、対象年齢を現在の小学校修了までに拡大することにより、入院・通院とも全国トップクラスの制度としたところであります。
平成27年における本制度の利用件数は、入院・通院を合わせ、約111万件と、対象年齢を小学校修了までに拡大する前の平成23年度と比べ、約7万件増加しており、現在では、少子化対策のみならず、子どもの貧困対策や、負担感が増大しているとも言われる子育て世帯の経済的負担の軽減策として、多くの皆様に、ご利用いただいております。
なお、少子化が進む本県において、子育て支援の充実は、喫緊の課題であり、平成27年3月に、第2期德島はぐくみプランを策定し、2025年の希望出生率1.8を目指して、結婚・妊娠・出産、子育ての切れ目のない支援を強力に展開しております。
なかでも、待機児童の早期解消に向けた保育所整備の推進や、認定こども園の設置促進などについては、さらに充実させていくべき施策と考えております。
また、全国知事会としても、少子化対策は、国家的課題であるとの観点から、子どもの医療費助成に係る国民健康保険国庫負担金の減額調整措置廃止や国の責任における全国一律の制度の創設について、要望してきたところであり、その結果、減額調整措置については、現在、国において、見直しに向けた検討がなされているところであります。
議員お話の視点、さらには、実施主体であり、拡大すれば財政的負担が増えることとなる市町村の意向も十分に踏まえながら、判断していくべきものと考えております。
今後とも、市町村との緊密な連携のもと、安心して子どもを生み育てられる德島の実現に向け、しっかりと取り組んで参ります。

《達田》  子どもの貧困問題で、この間、焦点になっているのが、食の問題です。
親が仕事をいくつも掛け持ちして忙しい上に、所得が低く、まともな食事を用意できない、学校給食が唯一まともな食事、といった子どもたちが増え、深刻な状況になっています。

学校給食法では、「学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資するもの」とし、その普及充実を図ることを定めています。
ところが、学校給食の食材費は自己負担とされています。例えば徳島市の場合、一ヶ月の給食実施日が20日として、小学校で5480円、中学校で6360円が必要です。子どもが小・中と二人いれば1万1千840円になります。子育て世帯にとって、この給食費の負担がなかなか大変なのです。

こうした子ども達を支援しようと、学校給食の無償化を実施している自治体は、自治労学校事務協議会の2016年学校給食費関連調査報告によれば、全国で501あり、本県では、北島町、板野町、上板町、神山町、上勝町、東みよし町の6町が実施しています。
子どもの医療費も給食費も無料の県となれば、若い子育て世代に選んでもらえる県になることは間違いないと考えます。

そこでお尋ねします。
県下すべての市町村で給食費の無償化が実現できるよう、県が支援すべきではありませんか。

《答弁 美馬教育長》 学校給食は、成長期にある子どもたちが、適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること、日常生活における食に関する正しい理解を深めること、健全な食生活を営むための適切な判断力を培うことなどを目的として実施しており、食事を通して好ましい人間関係を築くためにも、学校給食の充実と普及を図ることは、県教育委員会といたしまして、大変重要であると考えております。
また、国におきましても、学校給食は、学校における教育目標を実現するための重要な役割を果たすものであると考えられており、本県では、学校における食育を推進する上で、高い教育的な効果を期待できる生きた教材として、積極的な活用をすすめているところでございます。
学校給食の実施に要する経費については、学校給食法第11条において、学校給食の実施に必要な施設・設備に要する経費や学校給食に従事する職員に要する人件費などについては、義務教育諸学校の設置者である県や市町村が負担する、食材費など、それ以外の経費については、保護者が負担すると定められております。
このため、食材費等につきましては、保護者に学校給食費として、負担いただいておりますが、経済的理由により修学が困難であると認定された児童生徒の保護者に対しては、国・県・市町村による学校給食費について支援する修学援助の制度が設けられております。
本県では、すべての市町村が、こうした就学援助の制度などを活用して、経済的理由により就学が困難であると認定された保護者が負担する学校給食費について、全額補助を行い、経済的な負担がかからないようにし、子どもたちへの安定的な学校給食の提供につなげております。
学校給食は、子どもたちの心身の健全な発達と食べ物の大切さや生産者への感謝の心をはぐくむことなどに重要な役割を果たすものであり、県教育委員会といたしましては、引き続き、国や市町村と連携しながら、栄養バランスがとれ、安全で安心な食材を利用した学校給食の提供に努めるとともに、より一層の充実を図るため、しっかりと取り組んで参ります。

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再質問

介護保険制度について
《達田》  それぞれ答弁いただきましたが、介護保険制度について知事に伺います。
先ほども述べたように、厚生労働省は要介護1,2の「軽度者」の利用料の負担増などを提案し、来年の通常国会への法案提出を目指しているということです。
要介護1,2の方というのは、家にとじこもりがちになる時期です。この時期に適切で専門的な介護サービスを受ければ、生活に張りも出て意欲が出てきますが、サービスを使いにくくすれば、要介護3以上の中重度者が増えてしまうことが懸念されます。
利用が減って 介護保険の財政は一時的に支出が抑えられるかも知れませんが、長い目で見れば重度化が進み、財政を圧迫することになりかねません。
昨年の介護保険制度の改悪で、特別養護老人ホームの入所は、特別な場合を除き、要介護3以上に限られました。国は「施設から在宅へ」といいますが、支える家族に重い負担がかかり、介護離職が増えることが懸念されます。
また介護事業所への報酬単価が引き下げられ、経営が成り立たず、廃止せざるを得ない事業所が少なくありません。
利用者の負担を増やし、施設の経営が立ちゆかなくなるようでは、制度は持続しません。
そもそも介護保険の理念は、要介護度が軽いうちに、専門的な介護を受けて、介護予防するというもののはずです。
知事は、日頃から「健康寿命を伸ばすことが大切です。」とおっしゃっていますが、私もその通りだと思います。

そこでお尋ねします。
専門的で適切なサービスを軽度の段階で安心して利用できることの重要性を知事はどのように認識されていますか。
また、介護保険の改悪に対して、国に対し、見送りではなく、きっぱり中止するよう求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

《答弁 吉田保険福祉部長》 国は3年に一度制度改正をおこなってきていますけれども、サービスの提供方法の見直しは、行われているものの、高齢者の多様なニーズに対応したサービスが提供されているということに変わりはございません。これまでの本県の高齢者の方々の現状をふまえ、必要の都度、国に対し提言を行ってきたところは先ほど答弁申し上げたところでございます。
今後とも、国の議論の動向をしっかりと注視してまいりたいと考えております。

徳島東警察署移転問題について
《達田》  老朽化した東署の建て替えの必要性については、私も十分承知しております。しかし、問題は、移転先を裁判所跡地に決定した過程の不透明さです。

昨年3月、東警察署庁舎整備基本構想」がまとまりました。その検討過程で、裁判所跡地は候補として上がっておらず、用地としての適性が全く比較検討されていません。
にもかかわらず、昨年6月議会で突如、知事が「裁判所跡地に決定した」と表明したのです。

昨年2月に、財務局から県に裁判所跡地利用について照会があり、昨年6月上旬に東署の移転先として決定したということですが、その決定過程は闇の中です。
いつ、だれが、どこで、どんな検討をしたのか、確認したところ、文書も存在していません。まるで、德島版「豊洲市場」ではないですか。

「基本構想」策定にあたっては、東警察署に求められる立地条件などについて、若手職員をはじめ、県警察全職員を対象にアンケート調査を行っています。
「留置施設の整備、公用車駐車場の整備、十分な数の来庁者用駐車場の整備、広い敷地の確保など」が必要という意見が多かったのに、裁判所跡地では、今より1000平米も狭くなります。

「基本構想」がまとまった当時、県警本部長は、「若手職員の意見もしっかり尊重し、大変良いものが出来た」と述べています。裁判所跡地に決定したことは、職員の意見を全く無視していることになるではありませんか。

この問題で弁護士会からは、「治安維持や犯人検挙は、警察の役割、裁判所はそれに誤りがないか、行き過ぎがないかをチェックする役割を担っている。裁判所庁舎と警察庁舎が同じ敷地内で隣接していると、市民から裁判所の公正さや警察からの独立性に疑念が持たれ、ひいては両者の緊張関係がゆるんでしまう」と指摘されています。
重要な指摘だと思います。県民の基本的人権が脅かされる恐れのある危険な事態です。

県警は、「山梨県警は同じ敷地にあるが問題がない」といいます。しかし、山梨県警は、戦前の昭和3年からそこにあったもので、最近、裁判所の隣に建て替えたのではなく、前例にはあたりません。
私は、東警察署の裁判所跡地への移転計画は撤回し、再検討すべきと考えます。

そこで伺います。
裁判所跡地は、いったい、誰が、いつ、どこで、どんな検討をして決定したのですか。答弁を求めます。

《答弁 鈴木県警本部長》 德島東警察署は、県都徳島市の治安・災害対策を担う県下最大の警察署でありますが、庁舎は、建築から45年が経過し、老朽・狭隘化が著しく、十分な耐震性も備えていないことから、平時の「治安維持」機能はもとより、南海トラフ巨大地震等における「災害警備」にも支障が生じる可能性が高く、早急な整備が必要であると認識しております。
これまで、県警察におきましては、「有識者会議」からの提言を頂くほか「他県警察庁舎の視察」等による調査・研究を進め、平成27年3月には、新庁舎整備の土台となる「德島東警察署庁舎整備基本構想」をとりまとめたところであります。
新庁舎の整備場所については、24時間活動する警察署の機能を維持しながら、現地で建て替えることは困難である等の理由から、いくつかの移転候補地をあげて、検討を進めてきたところであります。
もとより、德島東警察署の移転場所は、治安対策等の観点から、現在地周辺が理想であると認識していたところであり、德島地方裁判所の新庁舎整備に伴い、余剰地のその後の方針も不明であったことから、県有地を中心に検討を進めていたものであります。
昨年2月に四国財務局から「德島地方裁判所跡地」の取得要望の照会を受け、事件・事故の発生が多いJR德島駅や秋田町等の歓楽街に的確に対応ができること、主要幹線道路の沿線にあり、緊急事案に的確に対応できることなど、治安や防災機能を最大限発揮できる場所であることから、県警察においては「移転場所として最適地である」と本部長以下の総意をもって判断し、決定したものであります。
德島東警察署の新庁舎の早期整備は、県民からも強く望まれているものと認識しており、県警察といたしましても、喫緊の課題として、着実に事業を進めて参ります。

原発問題について
《達田》  国と四国電力は、九州川内原発に続き、伊方原発3号機を、多くの反対の声を押し切って再稼働させました。
東日本大震災での東京電力福島第一原発事故の原因究明も、事故の収束に向けた対応も全くできておらず、いまだ東日本の被災地で13万7千人もの方々が、うち福島県の方は約9万人が避難したままという状況です。原発事故の教訓が全く生かされず、避難計画も安全対策も不十分、再稼働を急ぐべきでないと各方面から懸念の声があがる中、国と四国電力は、伊方原発再稼働ありきで突き進んできました。怒りを込めて抗議するものです。

さて、東日本大震災、今年4月の熊本・大分、10月の鳥取、11月の福島沖と、日本列島で、地震が続いています。そのたびに、原発のない德島県民の間でも、「近くに原発はないのだろうか?」と心配の声があがります。
特に先日のマグニチュード7.4の福島沖地震では、津波警報も出され、実際に川を逆流する津波の映像がTV画面に映し出されました。この地震で、東京電力福島第二原発で、3号機の燃料プール冷却システムが停止したというニュースを聞いて、日本中で、また世界で、5年前の東日本大震災の再来かと心配されました。
まもなく正常に戻ったそうですが、日本中で、多くの方々が、「原発は止めてもらいたい。原発がなくても電気は足りているじゃないか。」という思いをますます強くされているのではないでしょうか。
伊方原発は、すぐ近くを日本有数の活断層である中央構造線断層帯が走り、巨大地震の震源となる南海トラフも近く、地震の危険が高い原発の一つです。
また伊方原発3号機は、核燃料サイクルの一環として、使用済み核燃料を再処理して取り出したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用しています。含まれるプルトニウムは微量ですが、ウランの約1万倍の中性子を放射する猛毒です。
過酷事故により、瀬戸内海の隅々に放射性物質が拡散され、西日本のほぼ全域が核汚染される危険すらあります。政府が避難計画の策定を義務づけた30キロ圏内の自治体に被害がとどまらないことはあきらかです。

日本各地で、原発はいらない、もっと再生可能エネルギーを増やしてもらいたいという願いが大きくたかまっています。
その願いの象徴として、鹿児島県でも新潟県でも、市民の力で「脱原発」の知事を誕生させるという流れとなっています。

そこで知事にお尋ねします。
各地で地震が頻発し、原発に対する県民の不安が益々大きくなっている今、知事は伊方原発の再稼働中止を求めるべきではないでしょうか。

《答弁 飯泉知事》  四国電力伊方原発3号機について、立地県である愛媛県は、国の基準を上回る1000ガルの耐震性確保をはじめとする四国電力の取り組み姿勢、万一の事故に、国が最終的な責任を持つという総理の発言に見られる国の考え方、伊方町をはじめとする周辺自治体や愛媛県議会といった地元の理解など、あらゆる条件を租借、熟慮9した結果、再稼働に同意するとの判断を昨年10月26日に示し、本年9月7日より、通常運転が開始されているところであります。
また、原子力規制委員会の世界最高水準とも言われる新規制基準の審査項目には、地震動や津波の評価も含まれており、四国電力は、想定外をなくすため、国からも指摘がありました中央構造線断層帯と、別府ーはねやま断層帯をあわせた全長480㎞が連動するケースに加え、津波についても地震津波と地滑りに伴う津波が重なる最も厳しいケースを想定し、基準地震動650ガル及び津波高8.12mと推定しております。
この推定値に対し、四国電力では、195の重要施設については、1000ガルの耐震性確保、さらには敷地高海抜10mに加え、約14mまでの津波に対応する水密扉の設置など、更なる対策により、原子力規制委員会の審査をクリアし、再稼働に至ったと聞いております。
今後とも、世界最高水準の安全基準に基づく安全性の確保を前提とし、常に最新の知見を踏まえるとともに、規制基準のバックフィットの考えを取り入れるなど、国や四国電力が責任を持って安全対策に万全を期していただきたいと考えております。
また、県としましては、立地県である愛媛県の再稼働同意の判断を尊重するとともに、事務局の愛媛県と、本県を含む周辺6県で構成する伊方発電所原子力防災広域連携推進協議会において、原子力防災に関する情報交換や連絡通報体制、訓練での連携などを協議・具体化することにより、愛媛県を引き続きサポートするとともに、県民の安全・安心の確保向上にしっかりと取り組んで参ります。

地方公共交通網の整備について
《達田》  県民のくらしの足を確保し、地域を再生するためには、地域公共交通網の整備が不可欠です。

2014年11月に、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」が改正され、複数の市町村にまたがる地域公共交通ネットワークは、都道府県が「主体的に取り組むよう努めなければならない」と定められました。
同法に基づく基本方針では、都道府県の役割として、財政的支援、人材支援、情報提供などを講じるよう求めています。

法改正以降、今年の9月までに、全国で186件の地域公共交通網形成計画が策定され、奈良県や鳥取県では県も参画しています。今後、本県の小松島市やつるぎ町を含め、全国120団体が、検討を行う予定とされています。

人口減少が進むもとで、句は、コンパクトなまちづくりと連携して、地域公共交通ネットワークを確保することが重要としています。
この、コンパクトシティー化に対して、知事は「長年皆さん方が築いてきた所を簡単に放棄していいということではないのではないか」と指摘されましたが、私も同感です。

住み慣れた地域で安心して住み続けるためには、地域公共交通網の整備が不可欠です。これは、地域を持続可能とするインフラであり、地方創生のカナメです。
観光面でも、宿泊人数が全国最下位の状況がずっと続いてきたことの一因に、地域公共交通の脆弱さがあります。

そこで伺います。
県民のくらしを支え、地域再生・まちづくり・観光振興のためにも市町村と連携し、持続可能な地域公共交通網の形成計画を策定すべきではありませんか。

《答弁 原県土整備部長》  路線バスや鉄道など、地域の公共交通機関を取り巻く環境は、モータリーゼーションの進展や人口減少などの影響により、大変厳しい状況となっております。
このため、県においては、市町村が自らの地域の生活交通のあり方を審議する場、地域公共交通会議に積極的に参画し、地域住民の皆様と共に検討を行い、地域の実情に応じた生活交通の維持・確保を図っております。
こうした中、平成26年度に地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が改正され、市町村や交通事業者が行う持続可能な地域公共交通網の形成に資する取り組みを、より広域的な見地から支援できるよう、これまで市町村のみ策定することができるとされた地域公共交通網形成計画について、県も共同して策定することができるようになったところです。
そこで、これを契機として、県といたしましては、今年3月、県や、地域の生活交通の実情をよく知る市町村、バス事業者等で構成する徳島県生活交通協議会のもと、既存バス路線の運行系統や、地域公共交通体系を踏まえた6つのワーキング部会を設置し、まずは、それぞれの部会ごとに、路線バスの現状分析や利用促進策について、検討を始めております。
これまでに開催dしたワーキング部会では、広域移動を担う幹線バスと、市町村の域内移動を担う地域バスとの接続改善や、地域の中核病院や大規模商業施設への乗り入れ、国の赤字バス路線への補助金に関する要件緩和などについて、意見交換がなされたところであります。
今後とも、このワーキング部会を活用したバス路線の検証はもとより、人口減少社会にふさわしい持続可能な交通体系をどのように形成していくのかを、しっかりと検討していくとともに、地域の実情に合った支援制度の創設や規制緩和について、国に政策提言を行うなど、創意工夫を凝らし、市町村や関係機関とともに、地方創生を支える基盤とも言うべき地域公共交通の維持・確保に取り組んで参ります。

原発問題について《再質問》
《達田》 それぞれお答えいただきましたので、あと1点お尋ねいたします。
知事は、原発はやめてもらいたいと願う多くの県民の声に応えていただきたいと思います。
先ほど地震の話が出ましたけれども、中央構造線で、地震がおきるのは、ほとんどないだろうという学者の先生もいらっしゃれば、また、高知大学の岡村教授のように、「今の科学では地震を起こす震源断層をとらえることは出来ない。東日本大震災の反省にたって、想定外の地震に備えるべきだ。」こういう警鐘を鳴らして、伊方原発は「千ガルの揺れにも対応できるというけれども、千ガルでは足りない、二千ガルはみなければ」と訴えておられるということです。
私は、災害に対応するというのは、最も最悪の事態に備えることが大切ではないかと思います。伊方原発に限らず、地震列島のどこにも原発を建てていい場所などはないと思います。
ところで、原発はやめられないという日本の状況ですけれども、国は、2030年の電源構成の形を示した「長期エネルギー需給見通し」を示しておりますが、原発、石炭火力、水力などをベースロード電源として優先的に活用するとしています。
そして、2030年に原発は、発電電力量で20から23%占めるとしています。これは、今止まっている原発を次々と再稼働させるということで、運転開始から40年以上経った老朽原発も動かさないと達成できない数字です。
四国電力は2022年に40年の運転期限を迎える伊方原発2号機まで60年運転が出来るようにしよう、こんな考えを示していますが、国の方針に則ったものだと思います。
今求められるのは、危ない原発の再稼働ではなく、デンマークやドイツのような自然と共存できる再生可能エネルギーを中心にした社会に転換していくことではないでしょうか。
そこで、お尋ねいたします。
国のエネルギー政策の目標にとらわれることなく、原発ゼロを前提にした県のエネルギー計画を策定するべきではないか、お尋ねいたします。

《答弁 飯泉知事》国のエネルギー政策、特に原発ゼロ、こうしたものを前提とする県のエネルギー政策をとるべきでないか、ご質問をいただいております。
私も、まさに達田議員のおっしゃる通り、我々としても原発ゼロ、これを将来的にしっかりと俯瞰するかたちで自然エネルギー、その普及率を高くする、あるいは、地球温暖化対策、特に今マラケシュでCOP22、そして今世紀半ば地球温暖化ガス排出実質ゼロを目指していく国が脱炭素社会に向かってまさに歴史的な一歩を踏み出したところであります。
こうしたことから、県としてはまず国に求めるだけではなく、まず  より始めようということで、まず2030年の電源、自然エネルギー37%、さらには、温室効果ガス排出、2013年対比、こちらを40%削減という形の目標をかかげ、しかも、ただ単にベースロード電源、あるいは自然エネルギー発電というだけでは、なかなか自然エネルギ-、難しい点がまだまだ技術的にもあるわけですので、吸収源対策、こいちらを、森林分を13.6%、入れている所でありまして、様々な工夫そして今ある技術、そして将来展望できる技術、こうしたものをかみ合わせる形で、日本最先端、そうした形を今打ち出しているところであります。っている
もとより徳島県は34道府県、そして200を超える企業が集まっている「自然エネルギ-協会」会長県でもありまして、その意味でも、我々としては国のエネルギー政策に対し、まずは2020年自然エネルギー導入20という意欲的な目標を持つべきだと、さらには、2030年は30%以上持つべきだ、こうした提言を行ってきたところ、ベースロード電源、これに対して、国がなかなか膝を〇〇〇〇 ことが出来なかったわけではありますが、しかし、まず2030年については22~24へと、これは経済産業省の数値ではありますが、しかし環境省においては2030年で30%以上と、こうした数値も意欲的に出してきたところであり、我々としてはさらにこれをあげていく、これはとりもなおさず今お話のある原子力発電のあり方について、国についても大変悩んでいるとして国民の皆様方の多くの声をいただく、そうした中で何とか日本全体のエネルギー需要、これに見合う形で、しかし、将来的にはみな原発ゼロを目指していく、こうした方向性については、国も地方も国民の皆さん方も一致しているものとこのように考えるところでありまして、自然エネルギー協議会会長といたしまして、しっかりとこうした方向を推し進めるとともに、さらに意欲的な政策提言を行ってまいりたいと考えております。