今日の決算認定についての反対討論全文を掲載しました

今日の県議会本会議で行った、2016年度普通会計歳入歳出決算に対する反対討論は以下の通りです。

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私は、日本共産党を代表して、平成28年度徳島県一般会計歳入歳出決算に反対の立場で討論いたします。

平成28年度は、熊本地震を始め、各地で頻発する地震、秋の長雨と記録的日照不足、西日本の大寒波による記録的大雪、台風16号による被害など、前年に引き続き、自然災害が多発し、大規模災害への対策はますます切実な問題として焦点にのぼりました。
アベノミクスによる経済格差はさらに広がり、安倍政権は、消費税10%への増税を「世界経済不安」を理由に再延期せざるを得なくなりました。その一方で、政府は、社会保障を「改革の集中期間」と位置付け、医療・介護・年金や生活保護など、どの分野も改悪プランが進められ、県民の不安はいっそう増すこととなりました。
県民のくらし・福祉を守る政治への願いはますます高まっています。

県は、大規模災害への対策、災害復旧などで県民の要望に一定応えてきたものの、弱者の視点に立って住民福祉の機関としての役割を果たしてきたのか、また公平性や経済効果など、県民にとって真に利益となる使われ方をしているのかという視点でみれば、認定しがたい決算であったといわざるをえません。
認定できない、主な理由を述べてまいります。

第一は、消費者庁等の徳島移転に係る決算です。
県は、「地方への新しい人の流れの突破口」として「消費者庁」「国民生活センター」等の徳島移転の実現をはかるとしていましたが、業務試験の結論は、消費者庁がこれまで行ってきた迅速な対応を要する国会対応、危機管理、法執行、司令塔機能、制度整備等の主要業務は今まで通り東京で行うというものでした。つまり、消費者庁等の全面移転は出来ないということです。
ところが、県は、昨年9月の補正予算で、消費者行政推進費としてさらに500万円を増額しました。「新未来創造オフィス」を設置して、新しい仕事をし、3年後の検証・見直しへと結論を先延ばしにしたことは、県が無理を通した結果だと思わざるを得ません。消費者庁等の移転に関する支出の多くは、結局は無駄となってしまったのではありませんか。不十分な消費生活相談員の配置を増やす、待遇改善を行うなど、県内の消費者行政充実にこそ、力を注ぐべきです。

第二は、徳島東署施設整備や駐在所整備へのPFI導入に関する支出です。今年度と合わせて事前の調査・検討に約4千万円も使う計画です。
PFIは、大企業、金融機関、ゼネコンのための新事業を作り出すためのもので、主な儲けは県外の大手に吸い上げられる仕組みです。県内企業への優先発注という県の方針を無視するようなPFI導入のための検討費用に多額の県費を投入することは認められません。

第三は、28年度も、徳島化製協業組合という一民間企業に、農林水産部3,536万9千円、危機管理部1,886万3千円、商工観光労働部1,605万5千円と、補助金として計7,073万7千円も支出していることです。
平成6年から28年度までの総額は、実に48億4,125万1千円にものぼります。厳しい経済情勢のもとで、県下の中小企業の皆さんが苦労して経営を維持し、地域経済に貢献しているなかで、一社に破格の、かつ不透明きわまる補助金を出し続けていることは異常です。 第四は、阿波踊り空港の国際便施設整備設計費に支出している点です。5年前に整備したばかりのターミナルビルに、さらに18億円もつぎ込んで拡張する計画ですが、国際チャーター便の需要予測も極めて曖昧な上に、民間では利益を確保することが難しいから県が全額負担するというのでは、県民の理解は得られません。

第五は、徳島の食をテーマに情報発信と交流の拠点創設をうたった「とくしまブランドギャラリー『ターンテーブル』」開設に7,863万4千円支出したことです。
人通りの少ない地域で本当に集客して利益が上げられるのかどうか疑問です。しかも、県がビルの改修費も敷金も全額出し、年間家賃5千万円のうち3千万円も負担する契約で、利益はすべて施工業者のもの。これで県民の利益にどうつながるか、明確な説明もないまま事業が進められていることは問題です。

第六は、「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」の創設のための支出です。
企業版ふるさと納税制度は、寄付金を受けた自治体は収入増となる一方、企業が所在する自治体は、税額控除により税収が減るしくみであり、地方税制の基本をゆがめる恐れがあります。また、寄付を行った企業に対して何らかの見返りを自治体が与えるなど、自治体と企業の癒着が発生する懸念もあります。このように問題が多い制度創設の支出は認められません。

第七に県の財政を悪化させてきた大本である3000日の德島戦略の反省なしに、国営農地防災事業、旧吉野川流域下水道事業を漫然と続けてきた点です。
県は、旧吉野川流域下水道事業については、やっと事業を見直し、合併浄化槽中心の整備に切り替えていくことを表明しましたが、これまでの無駄遣いは取り返しがつきません。
災害対策の山崩れ防止や河川の安全対策を行ってもらいたい、交通安全対策で、子ども達が安全に通れるように通学道路を改良してもらいたいなど、要望が沢山あります。こうした身近なくらしにかかわる仕事に振り替えるべきです。

以上、認定できない主な理由を述べました。議員各位のご賛同をお願いして討論を終わります。