憲法タウンミーティング2013での私の意見(憲法改正条項について、主権国家としての安全保障について)

 ①憲法改正条項について
  
  日本国憲法は、①国民主権と国家主権、②基本的人権の保障、③平和主義 ④地方自治など、民主主義国家の大原則を備えていて、時代の変化に耐えうる 普遍性に富んだ内容をもっているので、変える必要がありませんでした。
 戦後、日本国憲法が定められて以降、この憲法、特に九条を改正する動きは数多くありましたが、そのたびに、国民の「平和憲法守れ」の世論と運動に挫折し、今日に至っているわけで、決して改正議論がなかったわけではありません。
 今問題になっている憲法96条に規定されている「憲法改正の手続き」の内容ですが、憲法改正の発議は国会議員だけに認められており、国民は、この発議された改正案に対し、「イエス」か「ノー」かを国民投票で意思表示できるだけです。
 そのために、憲法改正の発議は、「両議院のそれぞれの総議員の3分の2以上の賛成」で、どの条項をどのように改定するのかの「発議」を行い、これに対して国民が投票で承認するかどうかを決めるというように、法律よりも厳しい手続きを求めているのです。
 そもそも憲法というのは、国民の人権を保障するために時の権力を縛るものです。96条は憲法を改正する場合にも、権力者に都合のよい改定が安易にされないように法律を決める時よりも厳しい手続きを要求しているわけです。これは、アメリカやドイツ、韓国なども同様の厳しい条件がつけられており、日本の憲法改正手続きだけが特別に厳しいわけではありません。憲法96条の発議要件を緩和しようとする動きに対しては、9条改憲論者の小林節・慶大法学部教授も「改正ルール緩和(96条改正)は邪道。立憲主義否定は認められぬ」と批判するなど、護憲、改憲の立場を超えて、批判の声が高まっています。

 ②主権国家としての安全保障について
 憲法9条は、侵略戦争の反省を踏まえて、二度と再び誤りをくりかえさないという国際公約ともいえます。
 この9条の改定を、先の戦争を侵略戦争と認めない「靖国」派の内閣が中心となってとなえていることは、すでに広範な国際的懸念と批判を巻き起こしています。従軍慰安婦問題での開き直った発言や侵略戦争への反省どころか、美化までし、堂々と「靖国」に参拝する勢力が、憲法を変えて海外に武力でのりだすことほど、アジアと世界の人々にとって危険きわまりないことはないからです。もし、9条を変えて、明確に「軍隊」を持つようになれば、日本はアジアから孤立し、いっそう危険な状況におかれるでしょう。また、軍隊を維持するために、徴兵制も必要になり、国民の人権も制限されるようになるでしょう。
 北朝鮮の問題にしても、中国や韓国との領土問題に端を発する紛争にしても、何よりも大切なことは、道理に立った外交交渉による解決に徹することです。もっぱら「力対力」の立場で軍事力強化、軍事同盟強化で難局を突破しようとするのではなく、対話による解決の外交戦略こそが重要です。
 軍事対決からは平和は生まれないことを歴史は明確に示しています。
 東南アジアのASEAN諸国は、多国間の対話の枠組みを広げ、紛争が起こっても絶対に戦争にせずに平和的に解決する、軍事に頼らない「平和的安全保障」という考え方を実践しています。日本共産党は、このASEAN方式を北東アジアにも広げようと提案しています。このときに最も力強い財産となるのが、日本国憲法9条です。この9条を守り、9条を生かした平和外交によって、アジアと日本の平和を確保することにこそ、未来があると考えます。