自民党の改憲草案についての大門みきし参議院議員の「深読み」に「目からうろこ」です!
以下、大門議員のフェイスブックの投稿記事を紹介します。
〈 自民党改憲案を経済から「深読む」 〉
2012年に自民党が憲法改正草案を発表したとき、当時おなじ委員会だった自民党の中堅議員に「自民党の改憲案は復古主義と市場原理主義のごちゃ混ぜだね」といったら、「よくも悪くも、いまの自民党の反映ですから」という答えが返ってきました。
この間、憲法改悪のうごきが強まるなかで、9条関…連だけでなく、自民党改憲案(以下「改憲案」)がしめす国家像全体にも関心が強まっています。たとえば「改憲案」の前文にある次の一文。
「我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる」
現在の日本国憲法の前文にはない経済活動に言及したこの一文は、なにを意味し、なんのために盛り込まれたのか?
この点について、民主的な憲法学者や弁護士、研究者のなかには、次のような指摘をされる方がいます。
「『活力ある経済活動をつうじて』は新自由主義を社会の基本においたもの」であり、「その展開は、TPP参加による自然環境の破壊(農村崩壊)や競争激化など、おなじ前文にある『美しい国土』『郷土』や『和を尊ぶ』に矛盾する」、「むしろ復古主義が新自由主義の『擬装』に使われているのではないか」。
鋭い指摘です。たしかに「改憲案」の前文に自由という言葉が出てくるのは、この経済活動の自由だけ。また新自由主義の自由は人間の自由ではなく、資本の自由です。
もう少し、わたしなりに「深読み(心配読み)」させていただくと、さらに二つの危惧が生じます。
ひとつは、『活力ある経済活動をつうじて』が意味するものは、たんに新自由主義という一流派に限定したものとは限らず、市場経済・資本主義体制一般を憲法前文に書き込こもうとしているのではないか。そういう意図なら、やがて資本主義を乗り越えようと志向する勢力は自民党憲法下でどういう存在として位置付けられていくのだろうか。
もうひとつは、『活力ある経済活動をつうじて国を成長させる』ことを憲法前文に入れたのは、いまどき経済成長を国家目標にしたかったのではなく、経済成長を前文に位置づけ強調することで、労働者の権利や基本的人権を経済の下位におくことを積極的に意図しているのではないか、という危惧です。
「改憲案」は、現憲法の第22条の「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」から、「公共の福祉に反しない限り」を削除し、たんに「何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する」とだけにしています。
第22条は、もともと経済的自由権を規定したものです。職業選択の自由には「営業の自由」も含まれると考えられています。
したがって、たとえば企業活動の自由が労働者の権利を侵す場合も考えられることから、「公共の福祉に反しない限り」として経済活動の自由に制限を加えていたのです。「改憲案」はそれをあっさり削除してしまいました。
元自民党のブレインだった憲法学者のAさんにいわせると、憲法改正に関わってきた自民党議員にかしこいひとはいないそうですから、この経済優先の前文を入れさせたのは財界筋の知恵者かも。とにかく経済的にもこんな物騒な「改憲案」は絶対に阻止するしかありません。