2月18日の県議会開会で、日本共産党県議団は、消費者庁の徳島への試験移転費用の一部を含む補正予算に反対しました。(討論には、私が立ちました。)
以下、反対討論の原稿を掲載します。
私は、日本共産党を代表して、ただ今、先議議案となっています「議案第96号 平成27年度徳島県一般会計補正予算」について、反対の立場で討論いたします。
反対の理由は、「政府関係機関徳島移転調整費」200万円が計上されていることです。これは、「消費者庁および国民生活センターなどの徳島移転の実現に向けて、先だって行われる『業務試験』や『ネットワーク環境』などに必要な整備や調整を実施する。」とされているものです。
予算計上するにあたって、「消費者庁の業務試験」として「3月に、消費者庁長官をはじめとする消費者庁職員が神山町において、1週間のテレワークによる業務試験を実施するにあたり、必要な環境整備を行う。」と説明されていますが、どのような業務試験を行うのか、どのようなものに対する金額なのか、200万円の根拠が非常にわかりにくい予算となっています。
また、移転先は県庁9・10階であるのに、なぜ業務試験は神山町で行うのか、業務試験の検証は誰がどのように行うのかなどが明らかにされていません。
中央省庁の地方移転に関して、我が会派は、先の12月議会でも述べたように、徳島県への移転にすべて反対しているわけではありません。
中央省庁の東京圏への一極集中を是正する方策として、地方移転を推進することは評価し、徳島県の得意分野と思われる「情報通信政策研究所」などの徳島移転には賛成です。
しかし、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの地方移転は、消費者行政全体の機能後退を招くものであり、賛成できません。
消費者問題は、食品や製品の生産・流通・販売・安全管理、金融、教育、行政規制、刑事規制など、ほとんどの省庁と関連しています。消費者庁は、日常的に関係省庁等と一体となり、時には対立する利害も調整しなければなりませんし、国会対応も必要な消費者行政推進の司令塔です。
また、国民生活センターは、全国の消費生活センターや消費生活相談窓口を支援する中核機関として、消費者委員会は、独立した監視機能を持つ第三者機関として、それぞれ充実強化していくことが求められています。
特に消費者にもっとも身近な消費生活相談員の待遇改善などの地方消費者行政の充実は最も重要な課題といわれています。
今回の移転計画が、こうした消費者行政の課題解決や強化の方向に向かっていくものか、大いに疑問を持たざるをえません。
また、地方移転によって、緊急時における危機管理業務が困難になるのではないかと懸念されます。
毒入りぎょうざ事件など、重大事故発生時には、緊急対策本部を速やかに開催し、官邸と連絡を取りながら関係省庁と連携し、情報収集とマスコミ対応を行っています。このような緊急時には、数時間以内に対面での会議開催も必要になると言われます。県はテレビ会議などの環境整備を目指すといいますが、国会内・議員会館、各省庁にテレビ会議システムが整備されておらず、政府全体で活用する環境がない中で、対応仕切れないのではないでしょうか。消費者の安全にかかわる深刻な事態を引き起こしかねないと懸念されます。
消費者庁等の地方移転に対して、多くの消費者団体や日本弁護士連合会が反対の意見をあげていますが、移転の可否を審議している有識者会議には、消費者代表は一人もいません。公聴会もヒアリングも行っていません。
全国の消費者団体や消費者問題の専門家の意見にまったく耳を傾けることなく、「まち・ひと・しごと創世総合戦略」の観点だけで、徳島への移転を求めていることは問題です。
このような理由から、消費者行政の要である消費者庁・国民生活センター等の地方移転については反対であり、本予算には賛同できません。
以上、反対の理由を述べました。議員各位におかれては、冷静な判断をお願いし、討論を終わります。