10月6日(木)13時45分から、党県議団を代表し、一般質問を行いました。
テーマは6つ
1.災害対応(台風16号)について
2.消費者庁等の徳島移転問題
3.「地域医療構想」と「国保の都道府県管理」に向けての取り組みについて
4.中小企業振興条例改正について
5.TPP批准について
6.脱炭素社会の実現に向けた気候変動対策推進条例
以下、質問全文を掲載します。
日本共産党県議団を代表し、知事並びに理事者の皆さんに質問をいたします。
まず、この間の台風被害に対する対応について、伺います。
- 災害対応(台風16号)について
相次ぐ台風や豪雨により被害にあわれた皆様に心からお見舞い申し上げます。
先の台風16号では、徳島市など5市町で記録的短時間大雨情報が出され、道路冠水、住宅浸水、土砂崩れなどの被害が各地で発生しました。
「今後、今回のような記録的豪雨が頻繁に起き、さらに激しさを増す恐れがある」と、不安の声も多く上がっています。
ところが、27日の知事の所信では、このことにまったく触れませんでした。
また、台風16号による大雨の際、避難の基準となる河川の水位に関する情報を定められた報道機関に県が伝えていなかったことが、後からマスコミの取材で発覚しました。
岩手県を襲った台風による被害で、情報伝達や避難勧告の遅れが大きな問題となったばかりです。
この問題について担当課は、「住民の命にかかわる、あってはならない重大なこと」と取材に対して述べたようですが、マスコミ報道されるまで県は何も語らず、その後も、県みずから何も説明していません。
そこで知事に伺います。
今議会の開会日の所信で、一連の台風16号関係について言及しなかったことに対し、県政のトップとして県民に謝罪すべきではありませんか。
また、避難判断水位情報や氾濫危険水位に達した河川の情報伝達ができていなかったことについても、きちんと県民に説明し、謝罪すべきではありませんか。所見を伺います。
2.消費者庁等の徳島移転問題
つぎに、消費者庁等の徳島移転問題について伺います。
消費者庁と国民生活センターの徳島移転の検証の結果は、課題が山積みということがわかったということだと思います。
特に、消費者庁の業務については、徳島への移転は不可能ということがはっきりしたのではないでしょうか。
今年9月1日に出された政府の、お試し移転の報告書でもある「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取り組みについて」をみると、「これまで行ってきた消費者庁の迅速な対応を要する業務、対外調整プロセスが重要な業務(国会対応、危機管理、法執行、司令塔機能、制度整備等)は東京で行う」と、はっきりと書き込まれています。
消費者庁については「現時点では、政府内の各府省共通のテレビ会議システムが整備されておらず、徳島県から東京や全国へのアクセスの課題もある中で、消費者庁がおこなってきた国会対応、危機管理、法執行、消費者行政の司令塔機能、制度整備等の業務については、迅速性、効率性、関係者との日常低な関係の構築等の点で課題がみられた。テレビ会議システム等を活用したやりとりにおいては、一対一や一方向のやりとりは問題ないが、多人数での意見調整には課題が見られた。」と指摘されています。
また、国民生活センターについては、研修業務では受講者は関西、四国、中国からの参加が中心で、地域的偏りが見られたこと、県内や近隣からの参加者の利便性は増すものの、多くの受講者の費用、体力、時間等の負担が増加すること、多くの自治体で研修参加が困難となること、研修会場までのアクセス等の課題があきらかにされています。
商品テストでは、①必要な機器・設備が不十分で発火や爆発を伴うような実験施設がないこと、②複数施設に分散しており、機動的・効率的なテスト実施が困難であったこと、③一般に貸し出しする施設のために保秘が維持できない等の課題が指摘されています。
これらの課題は、検証するまでもなく、当初から指摘されていたことですが、国民の税金を使ったお試し移転の結果は重いはずです。
徳島では消費者庁等の本来の仕事が出来ないという結果が出たのですから、全面移転を目指すことは撤回するべきなのに、「新未来創造オフィス」を設置して、新しい仕事をするという方針を出し、3年後の検証・見直しをする」という結論を導きだしたことは、全く理解に苦しみます。
そこで知事に伺います。
消費者庁・国民生活センターの機能低下につながり、全国からの理解も困難な中、なぜ無理な「全面移転」にこだわっているのでしょうか。
実現不可能な徳島への「全面移転」を目指すことは、撤回するべきではありませんか。所見を伺います。
3.「地域医療構想」と「国保の都道府県管理」に向けての取り組みについて
次に、「地域医療構想」と「国保管理の都道府県への移管=いわゆる国保の都道府県化」について質問します。
県の地域医療構想案が先日示されました。団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、限られた医療資源を有効に活用しつつ、効率的かつ質の高い医療供給体制を構築するためとされていますが、要は、病床数削減目標を定めるものです。
国保の都道府県化に向けては、現在、県の国保運営方針の策定が進められています。2018年度より、県が国保財政を管理し、大きな権限を持つことになります。
この2つは「医療費適正化計画」と一体として、都道府県に権限を集中し、司令塔の役割を担わせ、医療費削減を推進することが国のねらいです。
まず、国保の都道府県化の問題で質問します。
2016年1月18日に厚生労働省は、「運営方針策定要領」と「納付金及び標準保険料率の算定方法について」の2つのガイドライン案を示しました。
これを参考に、都道府県は、2017年度中に国保運営方針を策定し、毎年度、標準保険料率を算定することになります。
県民にとっての最大の関心事は、いまでも高すぎる保険料(税)が、どうなるか、です。
県の「国保運営の在り方研究会 取りまとめ」でも、1人当たりの保険料(税)負担率、すなわち所得に占める保険料(税)の割合は、徳島県が全国最高の20.8%で、最低の東京都の10.3%の2倍になっていることを指摘しています。
保険料(税)負担率が全国一高い背景には、徳島県は年齢構成や医療費水準が全国平均よりも高く、所得水準が全国平均より低いなど、国保の構造的問題が、よりいっそう深刻な状況にあるからです。
同時に、それにもかかわらず、一般会計からの法定外繰入を行っている自治体が,他の都道府県よりも少ないからです。
これまで厚生労働省は、「保険料負担が重い」ことを「市町村国保の構造的な問題」の1つにあげていました。
ところが、ガイドライン案では、そのことに全く触れられていません。
2つのガイドライン案は、地方自治法に基づく技術的助言です。法的拘束力はなく、地方自治体の自主性・自立性が配慮されたものです。
そこで伺います。
2018年からの県への国保管理の移管で、県民の保険料負担が現状以上に引き上げられることがないよう、負担軽減のための対策を取るべきではありませんか。所見を伺います。
次に、地域医療構想について質問します。
地域医療構想案では、県を東部・西部・南部と3つの医療圏で区切り、2025年時点での必要病床数が示されました。
すべての医療圏で2014年時点よりも病床を減らす計画で、その削減数は、県全体で3,162床、26.0%となっています。
「構想の基本理念」に、「『行き場のない患者を生み出さず、全ての患者の状態に適応した医療・介護サービスが提供されること』を目指していきます。」
「地域医療構想策定においては、必要病床数等のデータの検討が行われますが、これらは、医療関係者や保険者、市町村、さらには地域住民が共通の認識を持ち、地域医療構想の立案やその実現に向けた取り組みに資するためのものであって、これらの数値を機械的にあてはめて、病床の削減を目指すものではありません。」と書かれています。
また、地域医療構を実現するにあたり、知事には、病院や優勝診療所の開設・増床、病床の機能転換、稼働していない病床への対応などについて「要請、命令、指示」といった強い権限が付されています。
地域医療構想調整会議では、知事の権限について「押さないボタンというふうに考えている」といったことも言われています。
先ほども指摘したように、この地域医療構想も、国の医療費適正化の手段とされていますが、県は、構想で必要病床数が示されているけれども、地域の実情に応じて対応する、削減ありきでない、今後も、こうした姿勢を変えることはないと考えてよろしいでしょうか。所見を伺います。
<消費者庁等の移転問題についての再問>
消費者庁等の徳島移転に関して再問したいと思います。
そもそも政府関係機関の移転については、政府の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づいて、東京一極集中を是正する観点から検討をおこなってきたものでした。
いかに地域に人を呼び、活性化させるかが、第一の視点だと思います。
そのためには、消費者庁の移転ではなく、地場産業の振興、地域住民が主体の自然エネルギーの普及、地域の文化振興のための公共施設の充実、子育てしやすく働きやすく老後の生活も安心という住みよい徳島づくりこそ必要ではないでしょうか。
消費者庁等の移転が徳島の地方創生におおいに役立つのだといって、「消費者庁や国民生活センターの職員は常勤・非常勤あわせて700名くらいなので、家族を含めると1000人規模の定住人口が増える」、とか、「国民生活センターの研修には全国から年約5千人も来県する」というような情報で、自治体や団体、県民のみなさんに移転推進のPRをしてもらうというようなことはやめるべきではないでしょうか。
また、徳島県の消費者行政は、がんばっているとはいえ、課題が沢山あります。
景品表示法の執行状況、特定商取引法に基づく行政処分、消費者保護条例の内容強化、適格消費者団体の育成、有資格の消費生活相談員の増員などの課題解決に取り組むべきです。
そこで伺います。
消費者庁等の徳島移転ではなく、徳島県の消費者行政を発展させるために、県は力を尽くすべきではありませんか。所見を伺います。
4.中小企業振興条例改正について
中小企業振興条例の改正について伺います。
小規模企業は、「県内企業の約9割を占め、地域経済と雇用を支える活力の源泉」であり「地域経済の主役」と、『とくしま小規模企業振興憲章』で位置づけました。
小規模企業振興基本法では、基本原則を「小規模企業の振興は、事業の持続的な発展が図られることを旨として、行われなければならない」と定めています。
私たちは、この基本法の趣旨に則り、県下の小規模企業者の持続的発展が図られるよう、県の中小企業振興条例の改正を求めてきました。
今回の条例改正を実効あるものとするため、2つの点を提案します。
1つは、小規模事業者の具体的な声が県の施策に反映される仕組みづくりです。
今回の条例改正にあたり県は、業界団体代表や有識者からなる検討委員会を設け、会議を2回開催しました。パブリックコメントでは37件の意見が寄せられています。
これまで小規模企業の実情は十分把握されず、施策の対象から外れていました。
今回の条例改正は、小規模企業の位置づけにふさわしく焦点を当て、支援を強化するためのものです。
そこで1つ目の提案です。
現場の声に直接耳を傾け、その時々の課題を的確に把握し、実態に合った施策を継続的に推進できるよう、小規模企業、中小商工業者から広く参加者を募った「審議会」の設置を改正条例に盛り込むことを提案します。
もう1つは、総合的・計画的な対策を行う仕組みづくりです。
県は、2008年に中小企業振興条例を制定しました。今年の2月議会でも「全国に先駆けて制定した頑張る中小企業振興条例に基づき積極的な施策展開を行ってきた」と答弁されました。
しかし、基本計画が策定されていないため、県の行動計画に創業支援や人材育成に関する4項目が盛り込まれているぐらいで、とても「積極的な施策展開」といえるものではありません。
県下の小規模企業は、2001年の31,099社から2014年には23,816社へと、13年間で7,200社余りも減少しています。
厳しい状況のなかで、大変な苦労をしながら経営を維持し、地域経済と雇用を支えている小規模企業・中小企業に対する支援の強化は差し迫った課題です。
そこで2つ目の提案です。
小規模企業・中小企業を支援する施策を総合的・計画的に推進するため、改正条例に基本計画策定の義務付けを盛り込むことを提案します。
知事は、所信の「未来を創る経済・好循環とくしまの実現」のところで、企業誘致の推進に触れても、小規模企業支援を盛り込む中小企業振興条例の改正には触れませんでした。ここに知事の逆立ちした基本姿勢が、はっきり現れています。「経済・好循環とくしまの実現」というなら、県内企業の9割を占める小規模企業への支援こそ本格的に強化すべきです。
以上、中小企業振興条例の改正について、さらに実効性を高める立場で提案をいたしました。
そこで、あらためて伺います。
条例の実効性を高めるため、審議会を設けることと併せて、基本計画策定の義務付けを条例に盛り込み、総合的に施策展開ができるようにすべきではありませんか。所見
を伺います。
5.TPP批准について
次に、TPP批准について伺います。
TPPをめぐっては、輸入米の価格偽装が発覚し、政府試算の大前提が大本から崩れる事態になっています。
政府は、これまで「輸入米の国内販売価格は国産米と同水準だから、TPPでコメは影響を受けない」と説明してきました。
ところが、輸入米の価格が偽装され、政府の公表より「60キロで最大3,600円」も安く販売されていたという事実が明らかになったのです。
政府試算は、根底から崩れました。
農水省は2年も前に、この価格偽装の情報を得ていたことを認めています。政府は真相を隠し、国民を欺いてきたのです。
さらに、外務省によるTPPの協定文書などの和訳に18ヵ所の誤った記述があったことも発覚しました。
県は、昨年12月に、国の手法にならいTPPによる影響試算を約23億5,000万円と算出しました。あまりにも過小評価した試算に、農業関係者から批判の声が上がりました。
しかし、いまやこの試算の前提が崩れています。
県は「影響額を精緻に算出することは困難」とも答えています。それでどうして「TPPを迎え撃つ」などと安易なことが言えるのでしょうか。
徳島県議会は昨年9月定例会で、TPP大筋合意を受け、「農林水産業では、関税の大幅な削減や輸入枠の新設により、海外から安価な食料品が流入し生産者の経営を圧迫するなど、影響は避けられない見通しである」と指摘し、「全ての交渉分野において、国民に対し分かりやすい詳細な説明を行うとともに、TPPが地域経済・国民生活などに及ぼす影響を分析し、具体的かつ速やかに情報開示すること」などを求める意見書を提出しました。
しかし、政府は、交渉過程を何一つ明らかにしていません。
安倍政権は、政府試算の前提が崩れているのに、影響試算を「撤回する必要はない」と開き直っています。輸入米の価格偽装を2年前から把握しておきながら放置し、国民を欺いてきました。
真相の徹底究明と、誤った前提に基づく「政府試算」の撤回こそが、いま求められています。
TPP承認批准案と関連法案を国会で審議する条件は失われています。
また、アメリカでは、2人の大統領候補がそろって現行のTPP協定案反対を公約にしています。アメリカが承認しない限り、現行TPP協定は発効しません。
そこで知事に伺います。
徳島県の農林水産業を本気で守るのなら、TPP協定の批准にキッパリ反対の態度を表明すべきではありませんか。所見を伺います。
6.脱炭素社会の実現に向けた気候変動対策推進条例
最後に、脱炭素社会の実現に向けた気候変動対策推進条例について伺います。
昨年パリで開催されたCOP21では、歴史的合意となる「パリ協定」が採択されまし
た。「パリ協定」では、地球の平均気温を1.5~2℃未満に抑えるという中長期目標
と、2050年以降に人間が排出する温室効果ガスを実質ゼロにすることになりました。
すでに世界では、フランクフルトやシアトルなどで「排出ゼロ」を掲げる都市があると報じられています。
脱炭素社会を築く上で、世界5位の排出大国日本の態度が厳しく問われています。
そういうなか、今議会に2030年度に2013年度比で温室効果ガスを40%削減する目標を掲げた条例が提案されています。
県は、2030年度再生可能エネルギーを37%にするという目標を掲げています。
本県の再生可能エネルギーの目標は、国を上回る意欲的なものとなっていますが、
再エネ比率を高めるという以上、他の電源比率を圧縮させる必要があります。
県は、当然、他の電源についても数値目標を立てるべきと考えますが、今まで、この電源比率については、明示されていません。
そこで伺います。
県は、自然エネルギーによる電力自給率37%の目標を達成した際の原発・石炭・石油・液化天然ガスの電源構成の内訳についてどのように考えているのでしょうか。所見を伺います。
<まとめ>
すべての質問に答弁いただきました。
一つ一つコメントする時間はありませんので、まとめさせていただきます。
知事は、消費者庁等の全面移転について、「国の本気度」「地方の覚悟」が試されるとして、あくまで全面移転の実現に固執しています。
しかし、徳島県の経済発展、県民の暮らしを豊かにすることを真に願うのなら、力を入れるところが違うのではないでしょうか。
地域に根を張って頑張っている中小企業、小規模企業のみなさんが経営を維持し、発展していけるよう支援することこそ、「地方創生」につながり、大多数の県民に歓迎されることではないでしょうか。
また、徳島の基幹産業である農林水産業や関連する産業、雇用に多大な打撃を与えるようなTPP協定にはきっぱりとNОの声を上げることこそ必要ではないでしょうか。
社会保障政策については、今、医療・介護が大きな曲がり角にきています。
県民のいのちと健康、暮らしを本当に守る立場に立つなら、国の医療費抑制策の先鋒を担うのではなく、国の悪政の防波堤になるような県政を行うことこそ求められているのではないでしょうか。
以上、私の意見を申し上げて、質問を終わります。
ご清聴、ありがとうございました。