5月8日(月)、経済委員会の県内視察に参加しました。
最初に、徳島市国府町の長尾織布合名会社を訪ねました。ここは、創業明治30年、阿波藍染・阿波しじら織を中心に綿織物の製造を行っているところです。昔ながらの三角屋根の工場のなかに、たくさんの機械が並び、糸をつむぎ、織り、織り上がった木綿布にしじら織り独特のしぼをつくる湯通し、乾燥、できあがったしじらを藍で染める、このすべての行程を見学させていただきました。
藍染めは、染色の回数を重ねるほど藍の色が深くなります。藍色の濃淡のグラデーションが美しいスカーフも、一番濃い色を出すためには、30回も染色を繰り返すそうで、大変な手間暇がかかっていることに驚きました。値段が高くなるのも仕方ありません。
長尾織布では、自社で織り上げた布を製品にまで仕上げて、販売も行っています。
「藍」色は東京オリンピックのシンボルマークにも採用され、徳島では7月24日を「藍の日」と定めていますが、徳島の伝統ある地場産業を身近に感じると同時に、県外はもちろん、県民にも、もっと知ってもらえるような取り組みにしなくては、と思いました。
この後、石井町の高度環境制御栽培施設を訪ねました。
ここは、とくしまアグリサイエンスゾーンとして、県と徳島大学、タキイ種苗(株)、Tファームいしい(株)が連携して、IT制御でトマトの温室栽培を行う施設です。「もうかる農業」「強い農業」をめざし、次世代型農業の研究実証事業として県が力を入れている分野です。
事業規模総額3億円、年間300トンの生産をめざしているとのことですが、トマトは、今、注目の農産品で、高リコピントマトなど、品種改良がさかんに行われ、競争が激しい、本当にもうかるようになるのか、また、電力ですべてを動かしているが、停電時の対応は?等、議員からの質問もたくさん出ました。
ハウス内の環境調整もコンピューター管理、水や肥料も自動で与える、土を触ることもない、まさに工場のような感覚ですが、受粉には、ハチが活躍、収穫は人の手に頼らざるを得ません。職員は、今はたった5人とのこと。今後、大型ハウスが完成すれば作業が大変になるため、パート職員を募集中とのことでした。
午後最初に訪れたのは、板野町にある家具メーカーの富士ファニチアです。
末広で創業し、今年で58年の老舗です。平成8年に当地に移ってきたそうです。バブルがはじけ、リーマンショック後、業績が悪化し、経営改善に取り組んできて、ここ数年でなんとか上向いてきたところだそうです。会社の事業計画などを掲載した手帳を全職員に配布し、会社の経営状況を各自が毎月記入する等、自社の経営状況を把握してもらうことを徹底して行っているとのことでしたが、こうした取り組みこそが、業績改善の要だと感じました。
今、特許出願中だという炭素繊維+成型合板のチェアの開発について、商品も見せていただきながらお話をお聞きしましたが、アイデアから商品誕生まで、失敗談も含めて熱く語られる総務部長さんの、情熱的なレクチャーは印象的でした。
視察の最後は、鳴門市にある農林水産総合技術支援センター水産研究課へ。ここでは、わかめの品種改良やアオスジノリの養殖研究の様子等を見学させていただきました。
研究棟では、さまざまな品種のわかめの種が保存されていました。
わかめの種は、「配偶体」と呼ばれるもので、オスとメスがあり、別々にしておけば、わかめに成長することなく長期間保存できるそうです。
ここでは、100種類以上ものワカメの配偶体が保存されているそうです。
徳島大学に新設された生物資源産業学部との連携で、徳島の水産業の活性化に役立つ研究が進んでいることは希望です。