国民健康保険の改善を求めて  徳島市に要請を行いました

要請書をわたす井上会長(向かって右側)

12日、13時~県社会保障推進協議会のメンバー20人で、徳島市への国民健康保険(国保)の改善に向けた要請を行いました。
党市議団からは、加戸市議、塀もと市議が同席しました。

 

徳島市の所得に占める国保料は20%を超え、県庁所在地で全国トップクラスです。

国保は健康保険と違って事業主負担がありません。自営業者や農業者、年金受給者、非正規雇用の労働者など低所得層が多いので、国が事業主の代わりに負担金(公費負担)を入れていますが、かつて50%あった公費負担が、どんどん減らされて25%ほどに減っています。
国保の加入者は、高齢者が多いため、医療費も多くかかるのに、事業主代わりの国の公費負担が少ないため、健康保険に比べて保険料が大変高くなってしまうという「構造的問題」があります。
保険料が高くて納められず、滞納する世帯が増えて、それが市町村財政を圧迫するという状況が長く続いていました。

「財政基盤の安定化をはかる」として、今年度から都道府県が財政主体となる「広域化」が行われました。
県が市町村別に標準保険料率を定め、市町村に納付金を課します。市町村は、標準保険料率に基づき、保険料(税)を決定し、住民に通知し、保険料(税)を徴収。納付金を県に納める仕組みに変わりました。

国は、制度変更にあたり、公費負担を拡大しましたが、徳島市の国保料は引き下げられないままです。

保険料を納められず滞納すると、市町村から納付の催促がきますが、応じないでいると「短期保険証」(有効期限が数ヶ月)が送られてきます。この間に納付相談などをしないで1年以上経過すると短期保険証を取り上げられ、「資格証明書」が発行されます。「資格証明書」では、全額自費で医療費を納めなくてはならないので、実際には医者にかかることなどできなくなります。いのちにかかわる問題です。

 

要請事項は、高すぎる国保料を払える額に引き下げて、低所得を理由とした国保料の申請減免を行って、きめ細かで親切な納付相談を、財産調査は本人に告知して、差し押さえは負担能力があると認められた場合に限って、生活に支障が生じないような配慮を!等の7項目です。

 

徳島市長は、今年の3月議会で、「低所得」を理由とした国保料の申請減免を行うための財源を一般会計から出すことを検討すると答弁したとのことですが、今年度は実現していません。この件はどうなったのかとの質問に、市の担当者は、「平成31年度予算にみなさんの要望を反映させるかどうかということになる」(来年度から実現する可能性があるということ)と答えました。
国保料の減免は、災害や失業など、特別の事情がある場合に限って行われることとなっていて、「低所得」などの理由はあてはまりません。国保の加入世帯には、「均等割」といって、たとえ所得が全くなくても、一人当たりいくらと頭数で保険料が課せられます。
もし、「低所得」による減免が認められれば、県内市町村では初めてのケースとなり、大きな前進です。参加者からは、ぜひ実現をと強く要望がありました。

もっとも、「低所得」というのは、大体、生活保護基準以下の所得ですから、高すぎる保険料自体を引き下げなければ、国保加入者の負担は軽くなりません。収納率を上げるためにも、市の一般会計から繰り入れを行うなどして保険料を引き下げる努力を求めることは当然です。

国の公費負担を、全国知事会も要望しているように「1兆円」に増やすこと、県にも「激変緩和措置」としての独自支援だけでなく、市町村への賦課金自体を減額するための独自支援を行うよう、求めていくことも必要です。

 

要請のなかでは、「国保料の納付相談日に行ってみたら、窓口が大変混雑して長時間待たされた。座る場所もなく、立ちん坊の人が大勢いた。」「わずかな年金しか収入がなく、保険料が納めきれないから減額申請しているのに、毎回『却下』の返事だけ。なぜ『却下』されたのか説明もしてくれない。」「納付相談で、毎月これだけならなんとか収められると思って書類を書いて持って行くと、『もっと払えませんか?これでは受け付けられないので、また、次回、相談に来て下さい。』と、冷たい対応。もっと親身になってほしい!」等々、相談に来た市民への対応の冷たさが次々と訴えられました。

相談日には、ロビーに予備の椅子を用意する、窓口対応の体制を増やすなど、市民への対応の改善も求めて1時間余りの要請を終えました。