全国から寄せられた数多くの請願や意見書が、ほとんど審査未了扱い⁉︎ 国会のこんな実態、みなさん知ってました?
山添議員の投稿を以下に掲載します。
国会における請願の審査について、ご紹介いたします。
地方議会では決議や意見書の採決が盛んに行われます。市民から出された切実な要求を、自民党や公明党、時には国政で安倍政権と対峙している野党会派を含めてあたかも「オール与党」で反対に回り否決するなど、民意に向き合わない姿勢が批判されることがあります。
では国会ではどうか。…
国会が開かれるたびに、たくさんの請願が寄せられます。それらは本来、法案審査と同じようにテーマに即して各委員会で審査を行い、採否を決すべきものです。
参議院の場合、委員会先例集92にそのことが記されており、「請願を審査するには、まず、紹介議員又は事務局から趣旨の説明を聴き、必要に応じて関係政府当局から意見を聴いて、質疑を行い、その処理について意見を述べた後、表決に付するのを例とする」とあります(写真)。
ところが実際には、ほとんどの委員会で多くの請願が審査も表決もされず、審査未了で終わっています。臨時国会で採択された請願は「北方領土返還促進に関する請願」1件のみでした(通常国会では、裁判所の職員の充実を求める請願など法務と厚労に関する請願が複数採択されています)。
採択は全会派一致を前提とするためですが、そもそも委員会に先立って行われる理事会で一会派でも「保留」と言えば「協議が調わなかった」として、委員会での採決も行いません。理事会の協議は議事録に残らないため、どの会派が何に賛成し何に反対したのかも、外からはわかりません。
私の所属する国土交通委員会にも毎回請願が出されますが、この間に委員会で採決したことは一度もありません。請願の処理は会期末の最後の委員会で行っており、時間をかけて審査するという体制にもなっていません。
もちろん、内容によって各会派で考えが違うことはあるでしょう。しかし、賛否を明らかにすることもなく、何千、何万、何十万という方が署名に込めた思いを「保留」の一言で払いのけてしまうのはあまりにも不遜で、国会議員としての責任に背くものではないか。
請願権は憲法16条に定められた基本的人権です。「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない」という規定は、選挙以外で民意を政治に反映させる重要な権利であり、請願を受け取った国や自治体、議会がこれを真摯に受け止めてこそ、権利として保障したことになります。
12月10日の臨時国会最終日。衆議院国土交通委員会の理事会で宮本岳志さんが、憲法や委員会の先例に照らし請願の審査をきちんと行うべきだと主張。午後に行われた参議院の国交理事会でも、私が同様の発言を行いました。
これまでにも請願処理のたびに、適切に審査を行うよう指摘しているのですが、今回は理事会後に野党のある議員から、先例集の条項を教えてほしいと聞かれました。わずかでも大きい変化。オモテに見えていない部分ですが、繰り返し主張し民意に向き合う議会の姿に変えていきたいと思っています。