ゴミ処理施設問題での徳島市への申し入れ文書(全文)

                                                          2014年12月25日
徳島県東部地域環境施設整備推進
協議会会長、徳島市長 原 秀樹殿

日本共産党徳島県委員会   委員長 上村 秀明
日本共産党徳島県議団     団 長 古田美知代
日本共産党徳島地区委員会  委員長 久保 孝之
日本共産党徳島市議団     団 長 加戸  悟
                    幹事長 見田  治
                     市 議 中野 一雄
                    市 議 塀本 信之
                    市 議 船越 智子

徳島市など県東部7市町村が広域整備を計画している
ごみ処理施設計画の白紙撤回を求める申し入れ

 佐那河内村の民有林を建設候補地として、徳島市など県東部7市町村が広域整備するごみ処理施設計画が、10月末に新聞報道され、その後、議会での説明がおこなわれました。
建設予定地に隣接する徳島市の地域でも環境汚染、河川の水質汚濁など、不安の声があがっています。
 また、候補地の佐那河内村では、「白紙撤回」を求める請願が1165人の署名を添えて提出され、村議会では、「一、住民合意のない佐那河内村へのごみ処理場建設計画を白紙撤回し、村民と行政が共同してごみ処理のあり方を探求すること。一、住民合意のないごみ処理場建設をすすめるための、一部事務組合に参加しないこと」という村長への意見書が全会一致で採択されました。
 ごみ処理の問題は、自然環境や住民の命と安全、資源問題にかかわる重大問題であり、住民と行政が協力しなければ解決しない問題です。ごみ処理施設計画を住民への事前の説明も住民合意もないまま強行することは、断じて許されません。したがって、以下の点を強く申し入れ、回答を求めるものです。

1.徳島市の70%をこえるごみ(紙、布、生ゴミ)は、資源として活用できます。基本計画(案)に記載された実績は、東部環境事業所が平均75.71%、西部環境事業所が平均65.45%です。まずやるべきは、ごみの分別を徹底して、ごみを減量することではないでしょうか。
 議会答弁では、平成33年のごみの予測値のなかで、事業系紙ごみの20%程度しか資源化が可能なごみはないとしています。しかし、努力すればさらに事業系ごみは資源化が可能です。また、手もと分別をすれば、家庭系のごみも資源化が可能です。なぜ、市と住民が力をあわせて分別してリサイクルする努力をしないのでしょうか。生ゴミも堆肥化など資源化できます。努力をすれば、ごみを半減させることも可能です。
 分別再資源化を前提にすれば、ごみ処理施設計画のごみ量予測は非常に過大です。7市町村ですすめようというごみ処理施設は、「ごみは燃やせばいい」という資源循環型社会づくり、ごみの減量再資源化に反する過大な施設計画だといわざるをえません。

2.「処理費用が安くなる」と報道されていますが、ごみ焼却費用及び、維持管理費の積算根拠を明確に示してください。
 基本計画(案)では、埋め立て処理しているプラスチックまで全部燃やす、粗大ごみの可燃残渣のプラスチックの部分も焼却処理する計画になっています。そして、高カロリーのごみを燃やして高効率ごみ発電を計画しています。収集されるごみが少なくなれば、「三系統のうち一系統を止める」などと説明されていますが、それは売電収入を減らし、焼却処理の単価を引きあげることになります。
 つまり、処理費用が「安い」のは、高カロリーのごみ質(プラスチックを全部焼却処理すること)、ごみがふんだんにあることが前提となっているからです。ごみが少なくなれば、「併せ産廃」処理や分別収集を崩してごみをかき集めるということになりかねません。循環型社会づくり、ごみ減量、再資源化に逆行することは明白です。
 さらに、プラスチックを可燃ごみにすると、①分別や発生抑制の意欲がそがれる、②ごみ発電は効率が10%台でリサイクルとしてムダが多い、③有害物質の排出にくわえ、二酸化炭素の発生が増えます。循環型社会の形成に逆行することになります。

3.市議会では「さらなるダイオキシン類の削減や有害物質の低減を図ることが可能」と答弁しています。つまり「ダイオキシン類や有害物質」が「でない」ということではありません。生物濃縮などを考えれば、ダイオキシン類の環境への放出は少ないほどよいと考えられます。
 現焼却施設と比較すれば「ダイオキシン類の削減」「有害物質の低減」となりますが、焼却施設が新たにつくられた地域では、「ダイオキシン類の増加」「有害物質の増加」となるということです。こういう認識で、まちがいありませんか。
 ダイオキシン類の測定は、法規制では、処理施設を運営している業者自らが分析機関に委託して、年1回、4時間測定すればよいことになっています。周辺住民にとっては、全く満足できるものではありません。その4時間だけ濃度を低く調整することも可能です。そういう例が報道されたこともあります。年1回の測定値が国の規制以下だから「安全だ」ということにはならないのではないでしょうか。

4.佐那河内村の予定地に建設する理由、用地選定の根拠を明らかにしてください。
 佐那河内村では、村長は説明会で「安全だ」と強調しています。それなら7市町村のごみの72.5%(平成33年度予測)を占め、最もごみ量の多い徳島市でなぜ建設しないのでしょうか。その方が輸送費用をはじめ、はるかに経済的ではないでしょうか。
 佐那河内村の説明会では、「候補地5カ所をコンサルタントが評価した」と説明しています。そのなかで、提案した場所は他の市町村には提示されず、A~Eの候補地をコンサルタントが検討したと説明しています。これが真実なら、提案した候補地が恣意的に提案された可能性を排除できず、また用地選定はコンサルタントまかせで結果について7市町村が検証することもしないで承認するという、全く無責任なものです。事務レベルの会議を含めて、会議への提出諸資料、議事録を公開して、どういう議論がおこなわれたのか明らかにしていただきたい。
 また、このコンサルタント会社への業務委託契約は、徳島県東部地域環境施設整備推進協議会でなく、徳島市がおこなったというのは、事実ですか。

5.事業主体は「一部事務組合」、事業方式は「公設民営方式」(DBO)が想定されています。
 環境、農業などに被害が出たときの補償の責任は、一部事務組合なのか、それとも施設を建設し運営している民間会社なのでしょうか。その場合、どんな手続きが必要になるのかを明らかにしてください。
 一部事務組合は、議会機能の形骸化、情報開示がなく秘密でことが進められるなどの欠陥が指摘されています。一部事務組合に対して、市町村議会は「負担金の予算審議をつうじて事業運営に関与」(徳島市の議会答弁)すると述べています。しかし、実際は議員が比較的多い徳島市であっても自治体は、DBO方式とあいまって、関与がほとんどできなくなるのではありませんか。
 DBO方式が採用されれば、維持管理費の算出は民間企業ということになり、維持管理費の積算の是非について、一部事務組合の議会審議でも、市町村議会の審議でも、説明を鵜呑みにせざるをえなくなるのではないでしょうか。
 DBO方式とは、「民間事業者の意見を取り入れながら」施設を建設し、運営の「ノウハウを有する民間業者」が運営管理すると徳島市の説明資料に明記されています。専門的な技術、管理運営のノウハウをもたない事業主体や自治体は、民間事業者の説明を検討する技術的な力量もなく、結局言いなりにならざるをえません。焼却炉メーカーは、建設で莫大な利益をあげ、さらに維持管理でも利益をあげ続けられるということになるのではないでしょうか。

6.現時点は、各市町村が広域整備に参加するかどうかを判断し、参加しない選択をすることも、無条件に認められる段階です。そうでないなら、その根拠を示してください。
 広域整備の佐那河内村へのごみ処理施設計画は、循環型社会形成基本法に逆行しています。交付金による環境省と県の広域整備への誘導にのらずに、ごみの減量・再資源化を徹底し、焼却するごみを減らすとりくみをすすめるべきです。住民不在のごみ処理施設計画を白紙撤回し、手もと分別を徹底し、ごみの減量、再資源化をすすめ、各自治体が住民と共同して適正な自区内処理のあり方を探求し、具体化していただきたい。